再生医療セミナーSeminar

本セミナーは、再生医療等製品の開発過程で医薬品医療機器総合機構(PMDA)とRS戦略相談を実施する際に整理すべき事項を明らかにし、相談資料作成を含めて対面助言で十分な議論を行い、出口を見据えた円滑な開発を進めるために必要な情報を提供することを主な目的として開催いたします。最近の再生医療等に関する動向等について、産学官の講師からレクチャーをしていただきます。

再生医療等製品の開発に取り組む研究者・開発関係者はもちろんのこと、ご関心のある先生方、企業等の皆様のご参加も広くお待ちしております。

開催内容

今年度開催するセミナーは「再生医療等製品の開発PARTⅡ」と題し、日本国外での再生医療等製品の開発動向やmRNA-LNP製品の開発における考え方も含めて解説いただきます。

各回の詳細はニュース配信および連携機関を通じて順次案内予定です。

2025年度テーマ:「再生医療等製品の開発 PARTⅡ」

過去開催実績

これまで開催したセミナー概要は以下のとおりです。

開催概要

年度 テーマ
2024 再生医療等製品の開発:最近の再生医療等に関する動向
2023 再生医療等製品の開発:開発初期に押さえておくべきポイント
2022 再生医療等製品の開発:いざ相談!
2021 再生医療等製品の開発:ここを聞きたい!
2020 再生医療等製品の失敗しない開発方法

分野別開催実績

分野 回数(5年間)
品質管理 11回
非臨床試験 5回
臨床試験 3回
知財 2回
その他(価格・事業化戦略など) 3回

過去Q&A

Q&A Archive
臨床研究・治験

臨床研究・治験

臨床研究から治験に進む場合と直接治験を始める場合とでどのような違いがありますか。
薬事開発では全て治験を実施すべきという考え方もありますが、治験を実施するには莫大な費用と人的資源が必要です。 そのため、まずは臨床研究を実施して、これだったらいけるのではというある程度の目星をつけてから治験に進むという選択肢もあり得ます。(2021 年 01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院 木村先生)

補足

治験:広義の臨床研究のうち、厚生労働省から医薬品、医療機器、再生医療等製品としての製造販売の承認を得ることを目的として行われるもので、薬機法によって規制されます。

臨床研究での使用経験がある特定細胞加工物を用いて開発を行う場合、治験に進むには非臨床安全性 POC の取得が必須でしょうか。
ヒトでの使用経験があっても、薬事上の承認申請を目指す場合、通常は非臨床安全性データが必要です。 ただ、過去に行われた非臨床研究の結果をもとに人間への安全性を適切に説明できる場合、治験に進める可能性があるかも知れません。最終的な審査時には、製品の特性を踏まえた十分かつ適切なデータが求められると考えます。 (2020 年01 月 21 日再生医療セミナー 群馬大学医学部附属病院 大山先生)
医師主導の臨床研究と医師主導治験との違いを教えてください。
医師主導の臨床研究は、新しい治療法の有効性・安全性などについて、主に医学的な知見を深めることが目的で行われます。 また、企業から資金提供を受けるか未承認・適応外の製品を使うものは特定臨床研究と呼ばれます。これらは原則として承認申請を直接目指すものではないため、GxP の対象外です。臨床研究法や倫理指針を遵守する必要がありますが、治験ほど厳しい規制はありません。 一方、医師主導治験は、医薬品や医療機器の承認申請、上市を目的として行われます。これは、薬機法に基づいて厳格に管理され、GCP などの GxP を遵守して行われる必要があります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
海外での開発を見据えた場合には臨床研究、治験、どちらが良いでしょうか。
海外での開発を見据えるなら治験が推奨されます。 特にヨーロッパやアメリカでは、GxP 準拠が基本要件であり、臨床研究と治験の区分がなされていません。臨床研究の成果は、学術的な業績やガイドライン作成の参考にはなりますが、承認申請のための直接的なエビデンスとしてはあまり用いられません。 (2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
医師主導治験と企業治験では何が異なるのでしょうか。
医師主導治験、企業治験とも薬機法に基づく治験であることに変わりはありません。医師主導治験は、通常、患者数が少なく、企業が関心を持たないか開発が困難な分野で、医師が臨床的な疑問を持った際に実施されるもので、AMED 等からの公的資金を獲得して、主にⅠⅡ相まで行うことが多いです。 医師主導治験であっても、開発後期には企業に引き継がれます(PMDA に承認申請を行うことができるのは企業のみです)。 (2021年 01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院 木村先生)
医師主導治験に企業からのサポートを受けることは可能でしょうか。
多くの場合、治験の費用や管理を支援する目的で企業が関与しています。企業のサポートは、治験の計画立案から資金提供、治験薬の提供に至るまで様々な形態があり、治験を成功させるための重要な要素となり得ます。 企業が直接関与しない場合は、公的資金等で治験実施費用が賄われます。 (2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
申請資料

申請資料

臨床研究と治験の結果を承認申請に利用する際、第三者視点での信憑性があったとしても、臨床研究の結果は評価されないのでしょうか。
承認申請時には、臨床研究の結果が必ずしも評価されないわけではありません。ただ、PMDA は評価資料と参考資料を厳密に区分しており、臨床研究の結果が評価資料とされるかどうかは個別判断となります。 重要なのは、第三者の視点からの信憑性です。治験では GCP 調査に基づいて評価が行われますが、臨床研究の結果も、治験結果と同じ方向性を示していれば、参考資料であっても評価資料を裏付ける、後押しする位置づけで評価されることもあり得ます。(2021 年 01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院 木村先生)

補足

臨床研究法(平成 29 年法律第 16 号)の制定時における附帯決議の一つとして「臨床研究で得られた情報を、医薬品、医療機器等の承認申請に係る資料として利活用できる仕組みについて速やかに検討すること」が規定されています。薬事申請においては、原則として治験の実施が求められます。 ただし、特定の希少疾患や治験実施が困難な疾患について、特定臨床研究で治験と同程度の信頼性が確保され、かつ臨床的に意義のある結果が得られた場合には、論文の状況や関連ガイドラインの記載状況を考慮した上で、薬事申請への活用が総合的に判断されることとされています。 参考: 「特定臨床研究で得られた試験成績を医薬品の承認申請に利用する場合の留意点・考え方の例」

先進医療 B 試験のデータは、申請資料としての位置付けはどのぐらいですか。
先進医療 B 試験の結果は参考資料の位置付けで、参考とする程度は個別判断になります。原則として、治験の結果が評価資料として用いられ、それを基に有効性と安全性が判断されます。ただし、再生医療等製品の中には、評価資料だけでは十分な評価が難しい品目も存在します。 そのような場合、先進医療 B 試験のデータが信頼できるものであれば、審査過程で重要な参考情報となり得ます。もちろん、参考資料だけで承認申請することはできず、GCP 下で行われた治験を 1 つでも成功させていることが大前提になります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
審査報告書において評価資料に対する否定的な記載がない場合、試験成績は肯定されたと考えてよいですか?参考資料が肯定的に記載された場合、評価資料と見なせますか?
試験成績に対する否定的な記載がなければ、その成績が承認に際して大きな問題ではなかったと解釈できますが、全て肯定されたことと同義ではありません。 また、参考資料の内容が肯定的に記載されていても、それが評価資料として扱われているわけではありません。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
PMDA を説得するために、論文をエビデンスとして提出する際、論文数はいくつ必要ですか?
論文数よりも論文の内容や掲載されたジャーナルの信頼性の方が重視されます。論文 1 つで PMDA が納得することもあれば、論文が複数あっても PMDA が取り合わないこともあります。 (2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
臨床試験の位置づけ

臨床試験の位置づけ

FIH 試験の対象について、有効性安全性の評価ができることを前提とした場合に、軽症例を対象とするよりも致死的な重症例を対象とした方が、リスクベネフィットのバランスがとれ臨床的意義が明確になりそうです。一方で重症例では致死的な有害事象のリスクがあります。この場合、どちらを選択すべきでしょうか。
致死的な有害事象が何か、疾患領域が何かにもよります。まず、軽症者に対する治療や介入の必要性を検討することが重要です。 予後不良の重症例を対象にした場合、仮に致死的な有害事象が多発して、例えば 10 例投与して全例が死亡したことが報道されれば、再生医療への国民の信頼や期待が大きく損なわれる可能性があります。 このようなリスクとバランスを考え、慎重に検討する必要があります。(2021 年 01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院 木村先生)
探索的試験と検証的試験はどのフェーズに相当するものでしょうか。
探索的試験は通常、ⅠⅡ相、検証的試験はⅡⅢ相に相当することが多いです。探索的試験では、非臨床試験や品質での結果を基に、人への投与が安全かつ効果的であるかや、用量反応性などを調べ、至適用量などを探るものです。 検証的試験では、最終的な用量を確認し、ここで主要評価項目を達成して臨床的意義を示すことで、承認申請、上市に繋がります。(2021 年 01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院 木村先生)

補足

ICH の E8 ガイドライン では「開発相による分類は臨床試験の分類としてふさわしくない場合があり、目的による分類が望ましい」と記載されています。目的による分類として、臨床薬理試験(薬物動態、薬力学、及び忍容性評価)、探索的試験(臨床 POC の取得、用法用量、評価項目の探索等)、検証的試験(有効性の証明、安全性プロファイルの確立)があります。

FIH 試験からⅢ相に進むような状況は想定されるでしょうか。
通常、医薬品開発はⅠ相からⅢ相まで順を追って行われますが、希少疾患など患者数が非常に限られている疾患領域では、1 本の試験を組むのが精一杯であることもあります。 そうした場合、FIH 試験が承認申請に使われたり、便宜的上Ⅲ相と表現されることもあり得ます。(2021 年 01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院 木村先生)
条件及び期限付き承認

条件及び期限付き承認

治験相談時に条件及び期限付承認を前提とした開発戦略を立案する場合、その戦略計画や承認申請パッケージの受け入れ可否について、PMDA は回答できるのでしょうか。
前提として、PMDA は治験相談の段階では、条件及び期限付承認の可能性について回答できません。治験では厳密にコントロールされた環境下で、明確な組み入れ基準をもって評価が行われます。 一方、承認後には厳密な評価が難しくなります。開発後期において、条件及び期限付承認の対象になり得ると判断された場合、治験で求める評価内容と市販後に評価できる内容を明確に区別し、市販後に評価が難しくなる懸念について整理できれば、建設的な意見交換ができると思います。(2021 年 01 月 22 日再生医療セミナー京都府立医科大学附属病院 木村先生)

参考

再生医療等製品に係る条件及び期限付承認並びにその後の有効性評価計画策定に関するガイダンス に「開発企業は条件及び期限付承認を最終目的とした開発計画を立てるべきではなく、あらかじめ有効性の検証までを含めて計画すべきである。その過程で実施された探索的試験の結果から、当局が当該制度の対象となりうると判断したものに適用されるものであることに留意する必要がある。」との記載があります。

条件及び期限付承認制度の該当性について、対面助言の相談事項からは落とし審査の過程で議論するとのことですが、II 相終了後に検証的試験へ進まずに申請できることはあるのでしょうか。
II 相の結果次第で申請前相談を申込み、PMDA が申請の可否を判断することはあります。ただ、申請前の時点で条件及び期限付承認の該当性までは判断されません。(2020年 01 月 21 日再生医療セミナー 群馬大学医学部附属病院 大山先生)
キムリア®(一般名:チサゲンレクルユーセル)のように本承認を受けた再生医療等製品と条件付き承認を受ける製品の違いはどこになるのでしょうか?
自家細胞製品では症例数確保や比較試験の実施が難しく、検証試験を行うためにかなりの時間を要すため、有効性が推定された段階で承認申請され、条件及び期限付承認を受けるものがあると考えられます。 ただし、条件付承認を狙うよりも、検証的試験を経て本承認を目指す方が望ましいと考えます。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生) ※キムリア®(一般名:チサゲンレクルユーセル)
条件及び期限付承認における安全性の確認と有効性の推定とは、希少疾患を念頭に置いているのでしょうか。患者数が多い疾患では、条件及び期限付承認は馴染まないでしょうか。
超希少疾患である脊髄性筋萎縮症を対象とした ゾルゲンスマ®(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)は、確実な効果が認められ通常承認されました。 超希少疾患では検証的試験での有効性の検証が難しいこともあり条件及び期限付承認が馴染み、患者数が多い疾患では実施可能性も考慮し有効性検証後の通常承認が馴染みそうです。 しかし、最終的な判断は疾患や製品により異なります。(2020 年 01 月 21 日再生医療セミナー群馬大学医学部附属病院 大山先生)
本承認、条件及び期限付承認を得るための試験デザインの考え方について教えてください。
既承認製品を見る限り、本承認を得るためであっても RCT は必須ではなく、主要評価項目が独自に設定されたにも関わらず、本承認を得た事例があります。 事前の閾値設定を達成できない場合や参照できる外部データが不十分な場合は本承認を得ることは難しいですが、有効性の推定が認められる試験結果が得られれば、試験デザインに限らず条件及び期限付承認を得られる可能性があると考えます。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
条件及び期限付き承認を狙った開発についてどう思いますか?
条件及び期限付き承認というのは目指すべきゴールではなく、審査の過程で結果的にそうなったものもあるだけで、条件及び期限付き承認を狙った開発はおすすめできません。 市販後調査では、盲検性が担保できない中でどのように試験をデザインし、有効性を検証するかを考える必要が出てきます。この試験デザインはかなり難しく、開発がより困難になる可能性もあります。長期的に製品価値を最大化し、迅速な海外展開を狙いたいなら、エビデンスをしっかりと蓄積して本承認を目指す方が良いかも知れません。 (2022年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
条件及び期限付承認後の製造販売後調査は、有効性及び安全性を検証するために介入試験が必要ですか。製造販売後臨床試験との違いはあるでしょうか。
有効性検証のためには介入試験が望ましいものの、既承認品目では求められていません。製品投与群では前向きにデータを収集し、対象群でもレジストリ等で可能な限り前向きにデータを収集することが重要です。市販後の製造販売後調査で比較可能性を担保することは容易ではないと考えます。 (2020 年 01 月 21 日再生医療セミナー 群馬大学医学部附属病院 大山先生)
製造販売後条件評価試験が失敗した場合でも、部分集団で本承認を得ることは出来るのでしょうか?
一般的に、全体集団での有効性の検証に失敗した場合、部分集団だけで本承認を得ることは難しいとお考え下さい。条件及び期限付承認後は、製販後試験の試験デザイン及び得られた結果に基づいて本承認の可否の最終判断がされると考えます。(2022 年 12 月16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
PMDA相談

PMDA相談

品質、非臨床安全性と臨床試験の相談を並行して進めることは有用でしょうか。
可能な限り同時並行で進めることが、開発者、規制当局、及び患者にとって有益だと思います。 品質や安全性の懸念が不明な状況で臨床の相談を行うのは時期尚早ですが、FIH 試験が視野に入っている段階であれば、臨床についても並行して相談し開発を進めることが重要です。(2021 年 01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院木村先生)
相談事項が複数ある場合、並行して複数の相談を同時に申し込むことはできますか。事前面談の段階から相談項目を絞り、並行して相談することは可能でしょうか。
例えば、品質及び安全性に係る相談では、1 つの申し込みに対して、品質と非臨床で枝番が振られ、品質と非臨床安全性それぞれで相談項目を立てて進めることがあります。 複数の相談を同時に進めることは可能ですが、相談者側の体力が問題になるかと思います。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生)
品質非臨床安全性を相談する段階では、対象疾患や用法用量までしっかり考察できない場合もあると思います。臨床試験の概要を記載することの重要性について教えてください。
開発初期であっても、何を対象に治療するのか分からないまま開発することはあまりないはずです。非臨床安全性試験の実施前でも、どんな細胞を用いてどのような治療を行うかで、用法用量についてある程度の考察は可能と考えます。 こうした計画がある程度定まってから非臨床安全性試験を行うことになるので、臨床試験の概要を記載することは重要と考えます。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生)
RS 戦略相談と治験相談等のどちらを選ぶべきか、また治験前に RS 戦略相談ではなく治験相談等を受ける場合もあるのか教えてください。
アカデミアの場合はコストが低い RS 戦略相談が有用です。相談したい内容や開発段階に応じて選択するのが良いです。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生)
大企業は原則として RS 戦略相談を利用できないのでしょうか。
主な対象はアカデミアやベンチャー企業ですが、RS 総合相談・RS 戦略相談パンフレットの Q&A に記載の通り、大企業が利用できないという規定ではないため、利用が可能なこともあります。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生)

補足

RS 総合相談・RS 戦略相談パンフレット において、「相談の内容が RS 戦略相談として適切であれば、ベンチャー企業以外の企業からの相談も可能です。再生医療等製品等の品質及び安全性に係る相談には、相談者の制限はありません。」という記載があります。

材料適格性相談の進め方は RS 戦略相談と同様でしょうか。RS 戦略相談後に行うべきか、別に行っても良いのでしょうか。
材料適格性相談は、材料の提供者が対象であり、RS 戦略相談とは別の相談です。開発者側が材料を提供する会社に相談して進める必要があり、RS 戦略相談の前後に行っても構いません。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生)

補足

再生医療等製品材料適格性相談:再生医療等製品の製造に使用されるヒト・動物由来成分を含む材料(例えば培地等のような最終製品の構成成分とならないもの)を対象に、ウイルス、プリオン等の安全性の観点からその適格性について、1 相談につき 1 材料の範囲で指導及び助言を行うものです。 適格性が確認された場合には、当該材料を提供する者に確認書が発行されます。

対面助言記録の確定後、PMDA の見解が申請時に覆ることはあるでしょうか。
対面助言記録は正式な見解なので、見解が覆ることは通常は想定されません。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生)
PMDA の担当審査官によって指摘事項や機構見解が異なることはあり得るのでしょうか。
機構の指摘事項や見解は個人の見解ではなく機構の見解です。 担当審査官が 1 人で決めるものではなくチームで審査を行いますので、担当審査官による見解の相違は通常はないと考えます。(2021 年 02 月 19 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 許斐先生)
サクラシー®(一般名:ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート)のように審査の過程で効能効果が広がった場合、審査期間が長くなるなどの影響は出るのでしょうか。
審査の期間は、承認申請時に設定されるタイムクロックに基づいています。しかし、重要な問題が発生したり、申請者と規制当局の間で議論が合意に至らない場合は、審査が長引く可能性があります。 サクラシー®(一般名:ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート)の場合は、うまく合意形成に至って、通常の審査期間で終えているという形になります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院明田先生) ※サクラシー®(一般名:ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート)
先駆け審査制度では指定されてから申請前の当局とのやり取りに時間がかかっているように見受けられますが、どのように運用されているのでしょうか。再生医療等製品ではどうでしょうか。
通常、承認申請に値する資料が揃ってから承認申請が行われるため、品目によっては申請前の協議に時間がかかることがあると考えます。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
試験デザイン

試験デザイン

再生医療等製品の開発において試験デザインの妥当性をどう判断すればよいでしょうか。
試験デザインの妥当性は個別に判断されます。医薬品の開発では RCT の実施が大原則ですが、再生医療等製品の開発では、倫理的な理由からコントロール群を設けることが難しい、または盲検性を確保することができないなどの理由から RCT を実施できない場合があります。 非盲検非対照試験を実施したい場合は、有効性を検証できると考える十分な根拠を PMDA に提供する必要があります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
非盲検非対照試験で留意すべき点について教えてください。
非盲検非対称試験では、有効性評価を適切に行えるのかが懸念されます。治療が全例で行われ、比較対象が存在しない場合、客観性の担保がまず重要になります。主要評価項目や評価期間の適切な設定も重要であり、治療効果の出現までの時間や持続期間を考慮する必要があります。治療効果の持続が短い場合、評価期間が短すぎると効果を過大評価しやすくなります。 逆に、効果が出るまでに時間がかかる治療に対し、長い評価期間を設定するのが本当に正しいのか、という点も考える必要があります。自覚的な指標と客観的な指標によっても適切な評価期間が異なるので、臨床的意義を示すために適切な期間について、慎重な検討が必要です。 また、症例数をある程度確保しておかないと、得られた結果の解釈が難しくなります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院明田先生)
比較対象を置けない場合、どのように客観性を担保すればよいでしょうか。
レジストリデータやヒストリカルデータを活用する方法では、条件を揃えて比較できるかが課題になります。外部データとの直接比較ではなく、外部データを参考にして閾値設定を行うか、前後比較によって試験デザインを組む方が現実的かも知れません。 ここは PMDA と相談して決める部分になります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
移植後の改善等で来院しなくなった場合の脱落数は問題となりますか?
治験において、脱落の理由が改善によるものか明確にすることはできませんし、脱落が多ければ当然問題になります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
細胞の投与方法は審査に影響しますか?
細胞製品の安全性や有効性は投与方法(経路)によって異なることが想定されるので、治験計画の段階で適切な投与方法に関する議論が必要と考えます。(2022 年 12 月 16日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
希少疾患では、データが限られる中で、どのように主要評価項目を設定すればよいでしょうか。
主要評価項目には「臨床的意義があり、信頼性と妥当性が確立し、普及していること」、という 3 要件がありますが、希少疾患ではこうした指標が無い場合が多く、個別判断になります。 評価項目が確立していない場合は、開発者側がどれだけ論理構築を行えるかどうかが鍵になります。また、進行に関与しかつ短期間で評価可能な何らかの因子をサロゲートエンドポイントとして設定することも一案です。進行抑制による臨床的意義を説明するには、他の評価項目と組み合わせる必要が出てくるかも知れません。(2022 年 12月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
PMDA と事前に主要評価項目について合意があった場合でも、その項目だけで全てを判断できない場合があると聞きましたが、PMDA はどのような基準で合意するのですか?
PMDA は、主要評価項目について、臨床的に意義があり、広く受け入れられ、信頼性と妥当性が確立しているかを重視します。ただ、疾患や品目によっては全ての基準を満たすことが難しい場合があり、主要評価項目が合意できても、副次評価項目など他の評価項目も重要となることがあります。 例えば、角膜輪部幹細胞疲弊症に対して承認された 3品目( ネピック®(一般名:ヒト(自己)角膜輪部由来角膜上皮細胞シート)オキュラル®(一般名:ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート)サクラシー®(一般名:ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート))では、 臨床的に意義がある視力を主要評価項目とすることが適切ではなく、形態的な改善を主要評価項目として、機能的評価が副次的に行われました。 角膜上皮移植による形態学的な改善、つまり角膜表面の安定化及び透明化が得られて初めて、併存疾患に対して安全に眼内手術(全層角膜移植、白内障手術等)を行え、間接的に視力改善が期待できるようになります。このように、主要評価項目に加えて副次評価項目を組み合わることで有効性と臨床的意義を説明できる品目もあり得るので、個別対応になるかと思います。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー慶應義塾大学病院 明田先生)
主要評価項目をカテゴリカル化する際の問題点について教えてください。
「カテゴリカル化」とは、データをカテゴリーで分ける手法です。例えば、血圧が140 mmHg から 110 mmHg に下がったことを連続変数、数値の変化として見るのではなく、「120 mmHg を下回ったか否か」という形でカテゴリカル化して評価します。 これにより、血圧がどれだけ下がったかではなく、特定の降圧目標を達成した人の割合を主要評価項目として設定することができます。しかし、カテゴリ化では詳細かつ重要な数値データが失われる可能性があり、また検出力が下がってしまうリスクもあります。 そのため、カテゴリカル化を行う際には、設定する閾値が科学的に適切であるかどうかを検討する必要があります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
非臨床の結果をもとに、実績がない主要評価項目を設定することはできますか。
非臨床試験の結果を人に外挿することは難しいです。非臨床試験で得られたデータは、FIH 試験や探索的試験の参考にはなり得ても、検証的試験の主要評価項目の設定に用いることはできないと考えます。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
オプジーボ®(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は様々ながん種に対して奏効率が 2 割~3 割で承認されていますが、再生医療等製品は何割程の奏効率で承認されるのでしょうか?
奏効率等が何割で承認されるという基準はありません。疾患の特徴に応じた個別判断です。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
両眼性の疾患の治療効果はどのように判断されるのでしょうか?
両眼で同時に治療を行った場合、一方の眼が他方に影響を与える可能性があるため、(眼内レンズ等の両眼での治療および評価が有用であると考えられる品目を除き) 通常は片眼のみが治験に組み入れられます(疾患によって右眼のみ決め打ちにするもの、悪い方のみ組み入れるもの等があります)。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
非盲検非対称試験での症例数設定はどのようにすれば良いでしょうか。少ない症例数でも検証的試験を計画できるのでしょうか。
目標症例数は主要評価項目に基づいて数学的に算出されます。このため、主要評価項目が妥当であることが前提となり、症例数の設定ができるだけの文献やデータが多く蓄積されていることが望ましいです。 希少疾患であれば、国内患者数を考慮して少ない症例数での試験計画が認められる可能性はあります。審査時には、目標症例数と実際に投与された被験者数とで乖離がないかも論点となります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
再生医療等製品の治験では、実施施設が限定されることがあります。施設の制限を理由に症例数を少なくしても良いのでしょうか。十分な症例数は必要ですか。
主要評価項目が確立されている疾患であれば、症例数計算が行えるため、それに基づき症例数を集める必要があります。 実施施設が限定される等の理由で症例数が少なくなる場合でも、有効性の検証が可能な閾値設定と適切な試験計画が求められます。(2022年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
希少疾患での選択除外基準の設定のポイントについて教えてください。
非盲検非対称試験では、自然軽快する可能性のある軽症例を組み入れることは適切ではありません。治療目的に沿った適切な集団の設定が、試験の成功に関わります。 対象疾患や重症度の選定にあたり、コンセンサスが得られた適切な分類方法が存在しないことが問題になる場合もあります。角膜輪部幹細胞疲弊症を対象とした開発では、背景疾患によらず病態や治療法が共通していることを踏まえ、疾患横断的に、重症度や所見によって選択除外基準が設定されました。 通常は臨床試験での選択除外基準がそのまま効能効果となりますが、実臨床での治療目的に合うような形で効能効果が最終的に決められた事例もあります。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
再生医療等製品の使用によって生じる有害事象の考え方について教えてください。
再生医療等製品では、組織の採取や移植といった侵襲を伴うことがあるため、これらによって生じる有害事象について事前に規定することが重要です。 少数例の試験であれば全ての有害事象を詳細に分析し、審査時には、治験で認められなかった事象も含め、再生等医療製品の特性から考えられるリスクについて評価することが求められます。 さらに、限られた症例数で安全性を担保することは困難なため、製品販売後も全例調査を通じて有害事象を収集することが重要です。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
病変部位の面積により、移植細胞数が変わる製品の安全性評価と承認後の使用方法はどのように決まりますか。
病変の大きさにより移植細胞数が変わる製品では、移植細胞数よりも移植細胞の性質に基づいた安全性評価が行われることになると考えます(移植細胞数に依存せず安全であることを示す必要があります)。 最終的には治験時の設定(選択除外基準、安全性プロファイル等)を考慮し、品目ごとに使用方法や用法用量が設定されると考えます。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
遺伝子治療製品で Clinical hold になったものをどのように解除して治験を続行するのでしょうか。
安全性の懸念について科学的に説明できるかどうかが重要です。原因が明確な場合はその解消を、特定できない場合は有害事象を最小限に抑える安全対策や、 発生した際の迅速な対応計画を提示することで、Clinical hold が解除されて治験が続行されるのではないかと思います。(2022 年 12 月 16 日再生医療セミナー 慶應義塾大学病院 明田先生)
PMDA はアドバイザーではないことは理解できますが、日本において、海外のように開発のアドバイスをする仕組みはないのでしょうか。
海外のアドバイザーの定義にもよりますが、PMDA がコンサル業でないのは事実です。最近では、PMDA 経験者がアカデミアに戻ったり、 企業出身者がアカデミアに来る事例もあり、ARO がアドバイザーとしての役割を果たすことが期待されます。(2021 年01 月 22 日再生医療セミナー 京都府立医科大学附属病院 木村先生)