センターに関わる事業

革新的医療技術創出拠点プロジェクト

当院は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」の、文部科学省「橋渡し研究戦略的推進プログラム事業」や厚生労働省「医療技術実用化総合促進事業」の拠点に選定されております。シーズ探索・育成機能、ネットワーク支援、臨床研究支援、臨床試験病棟等々を配置して機能を強化し、スペシャリストを配置して体制の充実を図っております。これらにより、基礎研究から臨床試験まで切れ目ない一貫した支援体制を整備し、学内外の研究シーズに対して、明確な出口戦略を視野に入れた支援を行っています。

橋渡し研究戦略的推進プログラム

事業趣旨

文部科学省の橋渡し研究戦略的推進プログラムは、アカデミア発の有望な基礎研究成果を臨床研究・治験へ迅速に橋渡し、画期的な医薬品・医療機器などを効率的・効果的に国民に還元することを目指しています。この事業では、全国10ヶ所の橋渡し研究支援拠点の基盤を活用して、産学連携、拠点外の機関の研究課題を積極的に支援するために必要な人材・設備等を整備するとともに、シーズ育成能力を強化し、日本全体としてアカデミア等による革新的な基礎研究の成果を一貫して実用化に繋ぐ体制を構築することが求められています。橋渡し研究支援拠点においては、自機関だけでなく他機関のシーズ発掘と支援も行います

目標

慶應義塾大学は、2014年に、私立大学でただ1校、文部科学省の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」の橋渡し研究拠点に採択されました。これを契機とし、大学病院臨床研究推進センターにトランスレーショナルリサーチ部門を設置し、実用化を指向した基礎研究・橋渡し研究の支援を実施しています。さらに2017年度から「橋渡し研究戦略的推進プログラム」にも採択され、引き続き橋渡し研究支援拠点としての機能拡充を図っています。

臨床研究推進センターでは以下の拠点の機能を整備し、非臨床試験から臨床試験まで切れ目のない支援が行える体制を構築しました。特に、マルチオミクス解析によるバイオマーカーおよび標的分子の探索、そして、iPS細胞を始めとする細胞治療の開発という慶應義塾大学の強みを活かした特色のある拠点形成を目指しています。

整備した拠点の機能

臨床研究推進センターでは、橋渡し研究事業の補助を受け、トランスレーショナル部門とネットワーク支援部門を整備しました。従来までの実績ある臨床研究の支援及び実施体制に加え、新たに下記の機能が加わりました。

非臨床試験支援

  • 非臨床試験のデザイン・評価およびPMDA対応などの問題に対するコンサルト
  • 細胞調製センター(CPC)・メタボロミクス解析・ロボットスクリーニングなど研究開発リソース

実用化支援

  • 特許出願からライセンスアウトまで知的財産戦略全般への対応
  • 共同研究開発のマッチングや研究資金獲得のサポート

ネットワーク支援

  • 国際臨床試験を含む多施設共同臨床試験への対応
  • 地域連携や産学連携を含む研究シーズの多様なソースと出口の探索
  • 首都圏の私立大学を始めとする臨床研究機関によるネットワーク構築(首都圏ARコンソーシアム

基礎研究から臨床試験へ、アカデミアから企業へ、日本から世界へ様々な橋渡しを、慶應義塾大学はサポートしていきます。

医療技術実用化総合促進事業

事業趣旨

国際水準(ICH-GCP準拠)の臨床研究等の中心的役割を担うため厚生労働大臣が承認する医療法に基づく臨床研究中核病院等への支援や、臨床研究・治験に関する環境整備等を通じて、日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要となる質の高い臨床研究・治験を推進します。

臨床研究中核病院とは

2015年に医療法に定められ、日本発の革新的な医薬品・医療機器・医療技術の開発に必要な質の高い臨床研究や治験を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院として、厚生労働大臣が承認するものです。承認要件として、臨床研究計画の立案と実施の実績、臨床研究支援体制、データ管理体制、安全管理体制、倫理審査体制、利益相反管理体制、知的財産管理・技術移転体制、国民への普及・啓発および研究対象者への相談体制など、様々な体制整備が求められます。  
慶應義塾大学病院は、私立大学病院としてはじめて、2016年3月25日に臨床研究中核病院の承認を受けました。

早期・探索的臨床試験拠点としての取り組み

早期・探索的臨床試験拠点整備事業(-2016年)

厚生労働省が推進する早期・探索的臨床試験拠点整備事業で、H23年度に全国5か所の医療機関の一つに選ばれ、世界に先駆けた日本発のseedsのFIH(First in Human)試験からPOC(Proof of Concept)試験を実施し、免疫難病を中心とした革新的医療技術創出を円滑かつ安全に行うための基盤を整備してきました。

拠点整備状況(Phase1)

シーズから革新的医薬品を、アカデミアを中心として一貫して創出するための、早期・探索的臨床試験拠点の機能の一つとして、臨床試験病棟を開設しました。ここではISO15189を取得した独自の検査室や、サテライトファーマシーを備え、GlobalなFIH試験をはじめ早期の臨床試験に対応します。また階下のGICUとも緊密に連携し、急変にも対応できる体制を整えています。

目標

今まで当院では実施されていなかった、安全性や薬物動態を調べることを目的とした、健常者を対象としたFIHや、患者さんを対象としたFIP(First in Patient)試験、あるいはPOCなど、早期の臨床試験を積極的に実施し、シーズから新薬の創出までをアカデミアで一貫して支援し、開発を進めます。

活動内容

アカデミア発のシーズの臨床試験だけでなく、企業からも積極的に治験を受託します。I/II相の臨床試験を免疫難病領域で3試験、がん領域で1試験の実施実績があり、今後も従来の病棟では実施しにくかったPK/PD検査などを含む臨床試験を積極的に実施していきます。

業務フロー

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