臨床研究の倫理性と安全性

臨床研究はどのような規則に従って実施されますか?

治験は法律(薬事法)や関連する諸規則に従って行うことが決められています。また自主臨床試験や観察研究は、厚生労働省によって定められた「臨床研究に関する倫理指針」など、研究内容に応じて該当する各種ガイドラインを守って行われます。いずれの場合も、これらのルールに従って行うことにより、臨床研究は倫理性と科学性を最大限に考慮して実施することとされています。

臨床研究を適切に行うためには、研究の倫理性(ご協力いただく患者さんの安全を確保し、権利を保護すること)と科学性(研究データの客観性や公正性を保つこと)の両方が重要です。これは、どのような臨床研究を行う場合でもおろそかにしてはならないことです。

自主臨床試験や観察研究では、法律に準じた各種「倫理指針」に従い、治験の場合と同じ水準の倫理性と科学性の確保に注意します。

臨床研究はどのようなチェック体制の下で行われるのですか?

慶應義塾大学病院における全ての臨床研究は、研究の内容や方法が適切であることが慶應義塾大学病院治験審査委員会または慶應義塾大学医学部倫理委員会によって確認され、あらかじめ承認されたものです。研究開始後も、研究の実施状況などが上記委員会によって定期的に確認されます。

治験審査委員会と倫理委員会は、研究と利害関係をもたない第三者から構成され、医学関係の専門家だけでなく他の分野の有識者や一般市民の立場を代表 される方、また学内だけでなく学外の方、男性と女性の両方が委員として加わることにより、審議が特定の偏った立場ではなく、公平・中立の立場からなされる ように配慮されています。

これら第三者委員会による審議と承認を得ていない臨床研究は、法律および諸規則に規定されている一部の例外を除き、実施することが認められません。

なお臨床研究に携わる関係者は、研究の種類を問わず、世界共通の倫理指針である「ヘルシンキ宣言」(世界医師会制定)を守ることが義務づけられています。