研究関連 に関するニュース

医学部・病院の「臨床研究活動表彰制度」がスタート

~初回は医学部内科学教室(リウマチ・膠原病)の金子祐子教授、玉井博也特任助教らの研究チームが受賞~

awards_ceremony20240416.png2024年4月病院運営会議での賞状授与式の様子 (左から)金子祐子教授、玉井博也特任助教、松本守雄病院長、近藤晴美研究員、吉本桂子研究員、佐藤泰憲教授


医学を進歩させ医療水準を向上させるためには、臨床研究・治験全般及び関連する教育活動を推進することが不可欠です。このたび、医学部・病院では、臨床研究の積極的な実施に向けたモチベーション向上を図る施策の一環として「臨床研究活動表彰制度」がスタートし、2022年度分の選考が行われました。その結果、慶應義塾大学病院で実施されたプロジェクトの中から「メトトレキサート未使用関節リウマチ患者におけるアダリムマブ追加投与時のメトトレキサート至適用量に関する検討(MIRACLE STUDY)」が選ばれ、チームとしてはリウマチ・膠原病内科の金子祐子教授、玉井博也特任助教、近藤晴美研究員、吉本桂子研究員、医学部生物統計学教室・臨床研究推進センター生物統計部門の佐藤泰憲教授 5名に対して、2024年4月の病院運営会議にて松本守雄病院長より賞状が授与されました。

本研究は、途中COVID-19流行に見舞われながらも、日韓台の国際共同試験を完遂し、アダリムマブ開始時にメトトレキサートを半減しても同等の有効性とより好ましい安全性プロファイルが示されることを世界で初めて示したものです。その結果は『Lancet Rheumatology誌』に論文として掲載され、また日本リウマチ学会の「関節リウマチにおけるメトトレキサート使用と診療の手引き2023年版」で引用される等、国内外の臨床医学・医療水準の向上に寄与するものとなりました。

本研究を含め臨床研究は、多様な職種からなるメンバーが自らの職責を通じて貢献することで成立しています。携わるメンバーの貢献や臨床研究の価値が再認識され、慶應発の臨床研究が更に活性化されるよう、臨床研究推進センターでは今後もこの制度を通じた表彰を継続してまいります。

dr.kaneko20240515.jpg賞状を授与され、お喜びのお言葉を述べられる金子教授

松本守雄病院長 表彰のメッセージ

dr.matsumoto20240416.png

ミラクルスタディ(MIRACLE STUDY)は、臨床研究活動表彰制度第1回を飾るにふさわしい研究で、コロナ禍という困難な状況の中で研究を成し遂げられたことは、本当に素晴らしいことだと思います。これに続く研究を進めていただき、臨床研究を活性化していただければと思います。おめでとうございます。

受賞者のコメント

【研究責任医師】金子 祐子 : 内科学(リウマチ・膠原病)教授、副病院長、臨床研究監理センター長

pic01.JPG

この度は、このような栄誉ある賞を、第1回目にいただくことができ、心から感謝申し上げます。 何年経ってもこのような賞をいただくことはうれしいもので、今とても幸せな気持ちでおります。 私は研究責任医師ということでしたが、旗を振っただけで、実務は玉井、近藤、吉本の3名が頑張ってくれました。また、佐藤先生にはたくさんのアドバイスと解析をしていただき、結果を出すことができました。 臨床研究はチームで進めることが重要だと思いますし、今回は韓国・台湾の先生方とも繋がりができました。このようなグローバルな研究も進めていければと思いますし、この先も臨床に貢献できるような研究を続けていきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。

【研究実務担当】玉井 博也 : 内科学(リウマチ・膠原病)/ 臨床研究推進センター 特任助教

pic02.JPG

この度は、大変素晴らしい表彰の機会を頂きまして誠にありがとうございます。私は研究実務担当という立場で2017年の本試験立ち上げ時から参加させていただきました。本試験は、当科スタッフに加え、学外共同研究機関の皆様、臨床研究推進センターをはじめとした支援部門の皆様など、多くの方のご支援を頂き完遂する事ができた試験であり、チームとして表彰を頂いた事を大変嬉しく思っております。今後も患者様に貢献できるよう、研究に励んで参りたいと思います。この度は誠にありがとうございました。

【リサーチナース】近藤 晴美 : 全身性免疫難病克服寄付研究講座 研究員

pic04.JPG

表彰式では大変緊張致しましたが、素晴らしい賞をいただきありがとうございました。私はリサーチナースとして、主に研究患者様対応をさせていただきました。診断から治療開始という不安の大きい場面で研究参加をお願いするものでありながら、多くの患者様にご協力をいただき、患者様の今後の治療展望がより開けることに少しでも貢献できたことうれしく思います。金子教授、玉井医師が常に質問、相談しやすい状況を作ってリードして下さり、研究室とも連携を密に検体やデータを大切にし、臨床研究推進センター、薬剤部、事務の方々に多くの支援を賜わることでチームの一員として積極的に研究を遂行できたと思います。この度はありがとうございました。

【検体処理担当】吉本 桂子 : 全身性免疫難病克服寄付研究講座 研究員

pic03.JPG

この度は大変栄誉ある賞を頂戴し、身に余る光栄と存じます。このような素晴らしい研究の一員としていただけたことに心より感謝申し上げます。私は金子教授、玉井医師からのご指示のもと、患者様からいただいた試料の分離・保存・管理に携わりました。近藤リサーチナースや研究室のスタッフと共に力を合わせることで様々な状況の変化にも臨機応変に対応することが出来ました。皆様に心より御礼申し上げます。また、臨床の現場と研究室のつながりを強く感じることができたことも大変嬉しく思っております。この貴重な経験を今後の研究に生かしていけるよう努力してまいる所存です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

【統計解析担当】佐藤 泰憲 : 生物統計学教室 教授、臨床研究推進センター 生物統計部門 部門長

pic05.JPG

この度は、素晴らしい賞を賜り身に余る光栄です。私は統計解析の責任者として、研究デザイン立案から統計解析までを担当しました。コロナ禍という困難を乗り越え、One-Teamで結束し、国際共同臨床試験を成功に導いたこの経験は、私の一生涯の財産となりました。慶應発のエビデンスを一日も早く医療として患者さんの元に届けられるように、日々精進して参ります。

【関連記事】

驚くべき進展を遂げたリウマチ治療 次なる課題の克服へ

【プレスリリース】

関節リウマチ治療におけるキードラッグであるメトトレキサート減量の可能性が明らかに-生物学的製剤を開始する際のメトトレキサート減量試験-